薬事法違反を防止するための4つの対策

薬事法は医薬品等の広告について規制していて、しばしば違反によって摘発されているケースがあります。薬事法違反では広告規制の違反が主なので、医薬品等の販売や宣伝をするときには広告の内容に注意が必要でしょう。

この記事では薬事法違反を防止するための対策をわかりやすくまとめました。医薬品等が関わる広告を作成する際には参考にしてください。

医薬品を通販で購入するときは薬事法に気をつけよう

薬事法(薬機法)違反の対象になるもの

薬事法は2014年に改正されて「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」になり、薬機法と呼ばれるようになりました。しかし、長らく使用されてきた薬事法という言葉が今でもよく使用されています。

薬機法でも薬事法の頃と同じように医薬品等について広告の規制をしています。薬機法違反の防止に取り組む必要があるかどうかは、薬機法によって規制される対象になっているかをまず確認して判断するのが大切です。薬機法では規制対象として医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品の5つを定めています。

製造、表示、販売、流通、広告などについて規制内容を定めている法律で、医薬品等の品質・有効性・安全性を確保することを目的としているのが特徴です。医薬品や医薬部外品、化粧品なども薬機法で詳しく定義されているため、広告を出したい製品が該当するかどうかをまずは確認する必要があります。

もし薬機法で医薬品等として定められている5つに該当しなかったとしても、薬機法違反になるリスクを考慮して防止措置を取らなければならない場合もあります。医薬品や化粧品と消費者に誤解される可能性がある製品については、広告の仕方によっては薬機法違反になることがあるので注意が必要です。

典型的なのは健康食品やサプリメント、健康機器や美容機器、健康雑貨です。医薬品のように治療の目的で使用するものだとサプリメントの広告に記載したら薬機法違反になります。この健康雑貨を使用すれば病気が治るといった書き方をした場合にも違反です。

健康や病気、美容に関わる製品を扱うときには常に薬機法に注意する必要があります。医薬品等に該当しているかどうかによって規制内容にも違いがあるので、まずはこれから広告する製品がどれに該当するか、あるいは該当しないかを明確にしてから広告作成を始めましょう。

なお、テレビCMや新聞広告、折込チラシやウェブ広告などの一般的な広告媒体だけでなく、商品のパッケージやパンフレットの記載内容についても規制対象になります。広い意味で製品について消費者に知らしめる手段はすべて薬機法違反の防止を進める必要があると考えるのが適切です。

薬機法違反を防止する4つの方法とは

薬事法(薬機法)違反を防止するには4つのアプローチがあります。どのアプローチも完全に独立しているので、1つだけ選んで取り組むことも、複数の方法を併用することも可能です。基本となるのは医薬品等適正広告基準を確認するアプローチで、個別に広告内容をガイドラインに照らし合わせてチェックします。

この方法を効率化する上で役に立つのが自社でレギュレーションを作成するやり方です。システム化してチェックできるようにすると効率が上がります。薬機法の専門家に依頼して広告内容についてのチェックを受ける防止方法もあります。

また、広告代理店に広告作成や配信を依頼するときにはダブルチェックをするのも効果的な防止策です。以下ではこの4つの方法について特徴を解説します。

医薬品等適正広告基準を確認する

厚生労働省は医薬品等適正広告基準というガイドラインを作成して、医薬品等の正しい広告をおこなえるようにしています。詳細がわかりにくい部分もありますが、解説及び留意事項等についてもまとめているので、熟読すれば確実な違反防止ができるでしょう。

ガイドラインは改定されることがあるため、広告を作成しようとした時点で最新の情報を手に入れることが必要です。また、解釈が難しい点については過去の薬機法違反の事例を確認するなどの工夫をして、違反にならないかどうかを詳しく考察しなければなりません。

医薬品等適正広告基準を利用する方法は大変ですが、法律に抵触しないかどうかを自前で判断する方法として適しています。

レギュレーションを作成してシステム化する

レギュレーションを作成するのは広告を作成する上で効果的なアプローチです。医薬品等適正広告基準や過去の事例、他社の競合商品の広告などを参考にして、レギュレーションを設ければ違反防止になります。社内でレギュレーションを守っているかどうかをチェックするシステムを設ければ防止効果も高くなるでしょう。

最も効率的なのはレギュレーションをシステム化する方法です。広告を作成する時点で随時チェックするシステムと、完成してから薬機法に抵触するリスクがあるかどうかを判定するシステムの二通りがあります。システム会社に依頼して開発してもらうこともできるので、広告作成の効率を上げる方法として検討すると良いでしょう。

専門家によるチェックを受ける

専門家によるチェックは第三者による確認を受けられる効果的な防止策です。薬機法に詳しい知識人や専門機関に依頼するだけで違反防止になります。

専門家によるチェックでは費用と時間がかかる問題がありますが、もし違反が指摘されたとしても専門家に賠償を求めることが可能です。保険としての意味合いも持つので、他の方法と併用するのも効果的でしょう。

広告代理店に丸投げをしない

広告代理店に広告作成を依頼しているときには、ダブルチェックするのが重要です。広告代理店に薬機法の専門家がいて内容を保証してくれるのなら問題はありませんが、専門家がいない場合も多いので注意が必要です。広告のプロだから薬機法に違反しない内容になっていると考えて丸投げをしてしまうと失敗するリスクがあります。

広告を依頼する時点で薬機法への対応について協議して、どちらが責任を持つかを明確にしておくのが大切です。広告代理店の責任とする場合にもダブルチェックをして、薬機法違反によって自社ブランドに傷がつかないように気を付けましょう。

薬事法(薬機法)違反の防止に努めよう

医薬品等や関連性がある健康食品や美容機器といった製品を販売するときには広告について注意が必要です。薬事法(薬機法)に定められている広告の規制について理解し、適切な防止策を講じましょう。ここで紹介した4つのアプローチは違反防止の役に立ちます。

自社の状況や製品の性質に合わせて適切な方法を選んで防止に取り組みましょう。