薬機法(旧薬事法)とは?気を付けるポイントや便利なチェックツールを紹介

「薬事法」から「薬機法」に名称が変りましたが、内容の違いが分からない人もいるのではないでしょうか。医薬品や化粧品、健康食品などの製品を製造、販売する際に安全性や有効性を保つための法律です。故意であろうとなかろうと、消費者に誤解を与える表現を使って宣伝すると、罰を受けます。

この記事では、薬機法(旧薬事法)を守るうえで気を付けるべきポイントや、便利なチェックツールを紹介しています。

医薬品を通販で購入するときは薬事法に気をつけよう

薬機法(旧薬事法)を簡単に解説

2014年に法改正で、名称が「薬事法」から「薬機法」に変わりました。正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」です。2019年からは抑止力として、課徴金制度も導入されています。

医薬品や化粧品、サプリメントなどの健康食品の消費者を健康被害から守るための法律です。薬機法(旧薬事法)は、広告を3つの定義に分けています。「ユーザーを誘引する (購入意欲を昂進させる)意図が明確」、「特定医薬品等の商品名が載っている」、「一般人が認知できる状態」の3つです。

企業のホームページや個人のブログも、内容によっては広告に該当するため、注意が必要です。また広告のジャンルには「医薬品・医療機器」、「化粧品」、「健康食品・食品」、「健康器具」の4つがあります。医薬品や医薬部外品、化粧品には有効成分が含まれています。

有効とは人体に影響を与えることを意味しており、必ずしも良い影響ばかりではありません。用法用量を守れば人体に良い影響を与える製品でも、使い方や摂取量を間違えると悪い影響を与えることもあるのです。誤解を与える広告によって消費者が健康被害に遭わないように守るのが、薬機法(旧薬事法)の役割の1つです。

薬機法(旧薬事法)を守るうえで気を付けるべき5つのワード

薬機法(旧薬事法)を守るために、避けておきたい5つのワードを紹介します。1つめと2つめが、「安心」と「安全」です。医学薬学上で認められた範囲を超えた表現は、抵触にあたる可能性があります。また、消費者の健康被害につながる誤解を招く表現は薬機法で厳しく取り締まられており、懲罰の対象になるでしょう。

「飲めば将来安心です」や「安全性の高い商品です」などの表現は注意が必要です。3つめは、「治る」です。医薬品や医療機器は厚生労働省の管轄ですが、認められているデータや効果を超える表現は、行政指導や禁固刑を受ける場合があります。

4つめと5つめが、「効果」と「改善」です。血圧や血糖値、コレステロール、ダイエットなどに対しての効果を謳うと薬機法(旧薬事法)に抵触する可能性があります。同じ製品を利用しても、効果は人によって違うことがあります。

誰にでも効果があるように受け取られる表現は注意しましょう。

サプリメントなどの健康食品を扱う際の注意ワード

医薬品や医療機器に比べ、サプリメントなどの健康食品は身近な存在です。しかし、何気なく使った言葉が薬機法(旧薬事法)に抵触する可能性があるので注意が必要です。ダイエットに関するサプリメントの広告を掲載する際に使われがちな「痩せる」。

しかし、消費者庁は適切な食事と運動をしながら痩せられる範囲を、6カ月間で4~5キロとしています。サプリメントに偏った摂取を促したり、2カ月で10キロの減量などの「痩せる」の定義として認められていない表現を使ったりした場合は、違反になる可能性があります。

また、バストアップや身長が伸びるなどの、体の一般的増強を謳う表現も注意しましょう。持病の改善や病気の予防は治療が目的と判断され、医薬品として効果や効能を謳っていると、懲罰の対象になる場合があります。

化粧品分類の製品を扱う際の注意ワード

化粧品はメイク用品や化粧水以外にも、シャンプーやトリートメントなども含まれます。「小顔になる」や「髪が増える」など、体の構造に変化を与える表現は薬機法(旧薬事法)に抵触します。同様に「若返る」も、肉体的な変化を消費者に期待させてしまうため、使用を避けましょう。

肌荒れや目の疲れに対して「治る」と表現すると、医薬品の効果効能を謳った広告と判断される場合があります。効果や効能が公的機関に認められている成分の含有量や、証拠として提出できるデータを掲載しましょう。また、若返りを意味する「アンチエイジング」も薬機法(旧薬事法)に抵触しますが、「エイジングケア」は表現として認められる場合があります。

「年齢に応じたケアの表現」と「化粧品等の効果効能の範囲内」の2つ条件を満たせば、広告に掲載しても問題ありません。広告に載せる表現に関しては、条件付きで認められるケースがあるので、製品の特長を表現するワードについて調べておきましょう。

広告が薬機法(旧薬事法)に抵触するかをチェックする3つの方法

条件付きで広告に掲載が認められる表現もあり、薬機法違反になるかどうかの判断は難しいでしょう。広告のチェック方法は3つあり、1つはリスティング広告への出稿です。リスティング広告は検索連動型広告とも呼ばれ、検索エンジンを利用した際に、上部に掲載される広告です。

Google AdWordsとYahoo!プロモーション広告では、細かな規制が定められています。薬機法に抵触した広告は配信の許可が下りないため、チェックとしても利用できます。2つめが、ツールを使ったチェックです。

薬機法に抵触していないかをチェックするツールがあります。有料と無料のツールがありますが、健康食品の原材料に医薬品成分は含まれていないかや、抵触の可能性がある表現などを調べることが可能です。

代替え表現の提案をしてくれるツールもありますが、問題はツールごとの精度の差です。チェックツールでクリアしても抵触の可能性が0%ではありません。

薬機法の理解を深めたうえで、サポートとして利用しましょう。3つめが薬機法の専門家への監修の依頼です。医師や薬剤師、監修を専門に扱っている企業に依頼することで、抵触しない範囲内で最大限の表現を使えます。また、広告に監修をアピールすることで、消費者からの信頼につながるでしょう。

薬機法の抵触は厳罰化に進む傾向にあるため、自身で見識を深めながら、複数のチェック方法の併用が対策として有効になります。

ツールを併用して薬機法(旧薬事法)に抵触しない広告を掲載する

薬機法(旧薬事法)は厳罰化が進んでおり、ホームページや広告を掲載する際にはチェックが重要です。しかし、さまざまな抵触にあたる表現や、表現が許される条件などがあり、判断が難しくなっています。自身の理解を深めつつ、補助的にチェックツールを使えば、薬機法への抵触の可能性は抑えられるでしょう。

医薬品や医療機器、化粧品や健康食品を広告に載せる際には、紹介した注意点やツールを参考にしてみてはいかがでしょうか。